石狩湾新港は、石狩川河口と新川河口にはさまれた海浜部に位置する重要港湾である。昭和48年、重要港湾の指定を受けて以来、東地区から順次港湾施設の整備が進められた。これに伴い、取扱貨物畳も飛躍的な伸びを示し、特に平成2年においては114万tと前年度に比べ3倍強の伸びをみせた。係留施設は、中央水路の浚渫と並行して建設され、計画規模は大型岸壁(-7.5m以上)19バース、総延長2,830mとなる計画である。これら本港の係留施設及び泊地を被覆し、港内の静穏度を確保することを目的として、外郭施設(北防波堤、島防波堤)の建設が進められた。北防波堤は第5次港湾整備5ヵ年計画時の昭和53年度に着手され、平成3年度には一部上部工を残して計画全延長3,900mが完了した。また、島防波堤は第4次港湾整備5ヶ年計画時の昭和47年度に着手され、平成3年度に計画延長1,150mが完了した。しかし、防波堤建設の着手に当り、当港の地層が、表層の砂層・シルト質細砂の下に軟弱な粘土層(層厚約15m程度)が存在しているため、沈下量を把握することは捨石の余盛厚等を決定し、防波堤の天端を確保する上で必要不可欠であった。本港では、昭和55年から約10年間の長期にわたって、上部工天端の簡単な水準測量を行ない毎年測定された沈下データが蓄積されている。本報告では、北・島防波堤の測定結果をとりまとめ、今後の沈下動向を把握することを目的に、上記沈下データから実測した沈下量と圧密沈下畳との関係を明らかにし、島防波堤(F部)のように、粘性土の圧密だけで説明のつかない個所については他要因(異常海象、軟弱地盤対策工等)による沈下の影響についても若干の考察を加えたものである。 |