北海道のような積雪寒冷地域では、冬期間の交通の安全や円滑性の確保の面から、凍結路面の融解や路面の凍結防止など凍結路面対策の要望が強い。現在、凍結路面対策手法の主なものとしでは、ロードヒーティングシステムと、凍結防止剤の散布が挙げられる。この2つの手法を比較すると、ロードヒーティングシステムは、交通に影響を与えず、安全かつ確実な融氷及び凍結防止を行うことができるという優れた特長をもつが、コストが高いため、その設置については延長が限られる。このためこの手法は、線としての延長を持つ道路の中で、点としての対策となる。これに対して、薬剤の散布は重要な場所へのスポット的な散布はもちろん、道路延長に沿っての線としての対策も可能である。このため、欧米諸国では、薬剤として岩塩(塩化ナトリウム)を、多量に散布している。このように薬剤の散布は、効果的な凍結路面対策の一つであるが、現在のところ薬剤として、おもに塩化ナトリウム(岩塩)や塩化カルシウム等の塩化物が用いられているため、金属腐食等の様々な二次的な影響も考えられ、その使用については、慎重に行う必要があり、欧米諸国では、薬剤(岩塩)の使用量削減が最大の課題となっている。また二次約影響の少ない薬剤として、CMA等の使用を検討している例も見られる。この報告は、薬剤の種類と効果、そして散布による二次的影響のそれぞれについて考察を行い、凍結路面対策として薬剤を使用する場合の基礎資料とすることを目的に取りまとめたものである。 |