スパイクタイヤの法規制などを契機に、冬期道路の安全確保に対する関心が高まりつつある。降雪量が欧米より多い北海道で、欧米並に凍結防止剤を散布しても、雪氷を路面から完全に除去できる保証はない。欧米並の薬剤量でも、塩害が深刻になっており、冬期路面管理の高度化が望まれている。道路管理だけで、冬道の課題を、全て解決できるわけではないが、現実に事故が多数発生していることを考えると、道路管理者も可能な範囲で、凍結路面の処理や、適切な情報撮供を行うことが望まれる。路面凍結に関しては、これまで特定地点の観測や観察が主として行われてきた。しかし、路線を線的に扱って、長い区間にわたって、路面凍結の現象を検討することは少なかった。ヨーロッパで広く普及しつつあるサーマル・マッピングは路面の温度特性を線的に把握して、センサーの最適配置や、潜在的に冷えやすい個所の把握をしようとするもので、より実際的な路面凍結対策を可能とするものである。当研究室は、このサーマル・マッピングを日本で初めて導入し、昨冬、国道230号の中山峠(札幌市川沿~喜茂別町国道230号交点)で試験的に実施した。本報では、この実施状況を紹介するとともに、その結果から路面温度と道路環境の関係および道路管理への利用までを検討して報告する。 |