スタッドレスタイヤの普及により、ドライバーはより慎重な運転を求められつつあり、ドライバーの冬期路面状況に対する認識もますます高まっている。一方、冬期の路面状況は地点ごとに異なり、また刻々と変化するので、道路管理者と言えども全線にわたってリアルタイムで正確にこれを把握し、ドライバーに詳細な情報を掘供することは極めてむずかしいのが現状である。しかし、適切な除雪や薬剤散布の実施などを考えると、各路線においてどこが凍結し易いか、どこに重点的な路面凍結対策を施すべきかを把握しておく必要がある。当研究室では、国内で初めて1991年初冬から1992年の初春にかけて、一般国道230号中山峠(札幌市川沿~喜茂別町国道276号交点)において路線の路面温度特性を計測するサーマル・マッピングを実施した。その結果から、路線の中でどの個所の路面温度が、どの程度低いか高いかを表した地図(サーマル・マップ)を作成した。しかし、これらの成果はあくまで路面温度を計測した結果から得たもので、実際の凍結路面の出現との関係を直接表すものではない。そこで、この区間内に53個所の調査地点を設け、ひと冬を通じて実際に路面状況を観察した。加えて、道路構造・日当たりなど、道路環境の調査も行った。本報は、今回実施した冬期路面状況観察の結果から、冬期路面状況と道路環境の整備について分析した結果を報告するものである。 |