今日、全国的に交通事故による死者数が年々増加しており、特に北海道においては交通事故による死者数が毎年全国の上位に位置している。このようなことから交通事故に対する道路利用者の関心も高くなってきている。一般に交通事故の原因はヒューマンエラーの占める割合が高いといわれているが、ドライバーを取り巻く道路環境や車の要因が密接に関連してヒューマンエラーが起きる場合もあると考えられ、交通事故を軽減するためには道路管理者が行う交通事故防止対策は重要な対策の1つである。事故防止対策を検討するためには、事故の発生状況を的確に杷握することが必要とされるが、データ量が多いためデータを整理するのに時間がかかること、またデータを容易に分析するシステムがないなどの理由により、十分な分析が行われていないのが現状である。平成3年度に交通研究室に導入された交通事故分析システムは、建設省で昭和63年に開発された交通事故表示システムをベースとし、一部機能を追加して北海道に適用できるようにしたものである。システムの構成は、大別すると札幌開発建設部管内のみを対象とした単純集計とクロス集計を含む道路地図表示及び道路直線表示による事故分析と北海道全域を対象とした地域別路線別単純集計及びクロス集計の事故分析に分けられている。また本システムは事故類型、法令違反などの警察から提供されるデータと道路管理者が持っているセンサスデータ、道路安全施設データを統合して事故分析を行えるシステムになっている。現在、このシステムは開発土木研究所に導入されているが、パソコンによる対話型の使い易いシステムとなっており、今後道路事務所等に導入して活用されることが望まれる。ここでは、システムの概要と分析事例について紹介する。 |