近年ベンチ長を2~6mに短くして上下半を同時に掘削するミニベンチ工法の採用が増加している。この工法の特徴は掘削作業の集約化により、施工の合理化・省力化・急速化、また作業の安全性・作業環境の向上を図ることができることである。しかしベンチ長が短いことによる切羽の安定性への影響、また急激な応力解放によるトンネルの安定性への影響が懸念されている。このミニベンチ工法による掘削については、施工実績も少なく、施工機種および施工方法も統一されていない。また切羽の安定性を確保するためのベンチの有効性についても十分検証されているとはいえない。したがってミニベンチ工法を標準工法とするためには今後、種々の調査・研究を積み重ねていくことが必要であると考えられる。今回上北トンネル(網走側)では、同一地質・同一支保パターンにおいて標準工法であるショートベンチ工法からミニベンチ工法へ移行することから、両工法区間で、またできるだけ同様の条件下となるよう接近して計測断面(A・B計測)を設定した。これよりミニベンチ工法での掘削施工における地山の安定性、支保部材の効果を確認すると同時に、これまであまり得られていない両工法での地山挙動および支保部材の効果等の比較を行い、計測面からミニベンチ工法の有効性について考察を行った。 |