コンクリートダムにおける基礎処理(基礎岩盤の改良)は、①ダム敷全体の基礎岩盤を固密化・一体化・均質化し、岩盤の変形性及び強度を改良するとともに、着岩部付近の透水性の改良を図ることを目的としたコンソリデーショングラウチング、②基礎岩盤中に連続したグラウトカーテンゾーンを形成することによって、貯水池からの侵透水を遮断し、併せて堤体に作用する揚圧力を抑制することを目的としたカーテングラウチングによって行われているのが一般的である。これらグラウチングの施工に際し、その効果の判断材料としては、一般に透水試験によるルジオン値(注入圧力10kgf/c㎡の時の試験孔長1m当たり毎分の注入量 1Lu=1l/min/m/10kgf/c㎡)によって評価しているが、これは、グラウチングによる岩盤透水性の変化を確認する試験であって、岩盤そのものの変形性や強度を直接把握するものではない。特にコンソリデーショングラウチングの場合は、岩盤の変形性や強度の改良が主目的でもあり、岩盤物性値(変形係数、弾性係数etc)を定量的に把握しておく事は重要と思われるが、一般的には、時間的制約や経済的観点からルジオン値のみで改良効果を判断しているのが現状である。以上のことから、今回、コンソリデーショングラウチング施工箇所において、グラウチング施工前・施工後の岩盤の変形性及び強度の改良に着目した種々の原位置岩盤試験を実施した。本文は、それらの試験結果を分析し、岩盤物性値の変化から見たグラウチングによる基礎岩盤の改良効果について検討したものある。 |