道央一体はその地理的条件上、偏東風と呼ばれる冷たい風が太平洋側の苫小牧方面より美々川等の低平地を経て千歳川沿いに吹き込み、農作物に対して風害・気温の低下・海霧・川霧等の悪影響を与えている。このことから、空知南部一帯は防風林が古くから整備され、その一部は防風保安林に指定され農耕地の風害防止に役だっている。また、耕地防風林の樹種は柳・白樺が主であり、現況中小排水路の法肩ぎりぎりの耕地側に植林され、その大部分は農家個人が植樹及び管理をし、農村の独特な景観を形取っている。一般的な排水路工事では、現況排水路の川床巾を拡幅して排水流下能力を確保するが、道央地区の現況排水路の場合、その片岸は町道になっているため対岸の農耕地側を拡幅することになる。工事用地内の支障立木等は普通伐採・除去され工事後に復元されることが無いため工事前の防風林の機能は皆無となってしまうばかりでなく牧歌的な田園風景が、排水路工事のため変貌してしまう。また、近年農村景観が重視されるなかにあって、当排水路と交差する道々栗山広島線西20号橋付近の農業集落排水事業、夕張太地区下水処理場がH4~H5年で実施されているがこの施設と排水路敷地が接続している関係上、共同で造成施設が地域に親しまれ、施設愛護及び地域の情報交流の場として活用される事を目的にH4に検討し、西20号排水路工事の附帯として敷地内に公園的な施設を建設した。これら道央地区排水路の南幌町に於けるH3~H5年計画について、農村景観と環境に配慮した試行的工事の計画内容・施工法などを、今回まとめた事例を中間報告するものです。 |