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 海水交換型防波堤の開発研究(Ⅲ)-消波ブロック被覆型有孔堤の水理特性とその設計法-

作成年度 1992年度
論文名 海水交換型防波堤の開発研究(Ⅲ)-消波ブロック被覆型有孔堤の水理特性とその設計法-
論文名(和訳)
論文副題 平成4年度(指-4)
発表会 平成4年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成4年度技術研究発表会
発表年月日 1993/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
抄録
近年港湾に対しては、物流や生産の拠点という本来の機能に加えて、一般市民のための快適な水辺空間の創出あるいは水産業との協調といった新たな要請が強まっている。港内空間はこうしたニーズに応えることのできる高いポテンシャルを有しており、各地での沿岸域開発の拠点となっている。港内の静穏海域はこうした利用の適地である反面、閉鎖性が高い場合が多く、水質の保全が必要となる。このため海水交換を促進できる港湾構造物の開発が求められている。防波堤に海水交換機能を持たせることは港内の海水浄化対策として有効であり、これまで各種の構造形式が提案され、現地に建設された事例も多い。本研究で対象とした有孔堤もそのひとつで、その特長は通水孔を水中に設けることにより、海水交換機能を持たせながら港内への伝達波高を抑えられることである。高らはこの構造形式を通常の多孔式ケーソン(Perforated Caisson)と区別して、水中部に並ぶ小窓が城壁の銃眼に似ていることから、これをCrenellated Breakwater(銃眼防波堤)と名付けた。現地での施工においては、ケーソンの側面に切り欠きを設けることで、連続する2函の接合部に容易に通水部を形成できる。このため通常のケーソン式混成堤の断面形状を変えずにすむ利点がある。北海道の瀬棚港では有孔堤の建設が進められており、現地観測によって管内発生流の基本特性が明らかにされている。有孔堤の海水交換機能をさらに高めるためには、波浪により生じる通水管内の流れの方向を制御し、一方向流を発生させる必要がある。流向制御の方法としては、通水管の構造形式を工夫する方法と堤体前面に水位上昇を生じさせる方法が考えられる。前者としては、岡本らによる弁方式、中村らによる孔口の形状効果を利用する方法、道下らによる鉛直管の固有振動を利用する方法などが提案されている。一方、後者の水位上昇を発生させる方法として、山本らは前面に潜堤を設ける二重堤を提案している。筆者らは通常の消波ブロック被覆堤のブロック内の水位上昇に着目し、この外力を利用して有孔堤による一方向流の発生の可能性を示すとともに、数値計算によりモデル港湾における海水交換効果を検討した。本研究は、孔口の形状、開口率および通水管の長さなどの諸元が通水性能に及ぼす影響を、水理模型実験と数値計算によって明らかにするものである。
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