積雪寒冷地における港湾構造物、とりわけコンクリート構造物は海水による塩害作用に加えて、凍結融解作用を受ける等、極めて激しい自然条件下にあることから、耐久性に優れたものが要求されている。現在港湾構造物に用いられているコンクリートは、AEコンクリートが主体であり、設備の整った生コン工場で生産されており、均等質なものが容易に得られるなど、耐久性に優れたコンクリートを造る上で好ましい状況になっている。しかしながら道内の港湾構造物において、コンクリート表面のモルタル分がフレーク状に剥げ落ちる、いわゆる表面剥離現象が数多く報告されており、その劣化対策は最も重要な課題の一つとなっている。NEMコンクリートは、高微粉末化した高炉スラグを主材とし、これに早強ポルトランドセメント、高炉スラグ細骨材及び高性能減水剤を一定比率で配合した結合材に粗骨材を加えたものである。技術的な名称は、「高炉スラグ系高強度・高耐久性コンクリート」と呼ばれており、特徴としては、高炉スラグの水和特性を高度に活用することから、密実なモルタル組成が得られるため、凍害や化学抵抗性などに高い耐久性を示すと同時に、高強度を発揮するコンクリートである。本報告は今年度南護岸胸壁部において実施した、NEMコンクリートの施工性及び表面剥離防止工法としての効果について、現地での調査・試験データーを基に報告(中間)するものである。 |