防波堤などの構造物と基礎捨石の間にアスファルトマットを敷設した場合は、堤体の滑動抵抗を大幅に増大することができ、堤体の安定牲に大きく寄与するとともに、断面の縮小化につながり経済的に有効な工法となる。このため、昭和38年度に和歌山の有田港の防波堤に採用されたのをはじめとし、各地に広く採用されている。北海道においても昭和42年頃から漁港の防波堤の一部に施工途中の暫定断面の安定性確保などの短期的目的で採用されたのを初めとして、その後同様の目的で港湾でも使用されるようになっている。しかし、平成元年度に「港湾の施設の技術上の基準」が改訂されたのに伴い、摩擦増大用アスファルトマットの強度などの基準が改訂されたこと、および昭和63年度まで北海道で用いられてきた触媒型アスファルト「スーパーCBアスファルト」の確保がむずかしくなったことと、フロー防止のために添加している「テーリング」の取扱い上の環境問題から使用がむずかしくなり、配合の見なおしが必要となった。本研究は、新基準のもとで冬期の低温下においても大きな摩擦抵抗力を発揮し、夏期の高温下においても優れた施工性を有する、北海道の環境条件に適した感温性の低いアスファルトマットの配合開発を行ったものである。 |