千歳川放水路工事により発生する土砂量は約1億1千万m3であり、この掘削土砂はその一部を堤防等の材料として用いるほか、周辺地域の発展に生かすため、置土として活用することとしている。これら掘削土を早来町の周辺農地へ盛土することにより、地下水位が高いことに起因する排水不良の解消、窪地などに停滞していた冷気塊の消失などのほか、農地の平坦化、大区画化が可能となり、農業機械の大型化、作業の効率化及び低コスト化への転換に寄与することとなる。しかし、放水路掘削土を周辺の低地農業地帯へ盛土する場合、盛土基礎地盤に泥炭層や粘性土層などの軟弱な地層が分布していると、盛土の不等沈下や法すべりなどを生じることが懸念される。また、既耕地に盛土した場合は、今まで耕作されてきた土壌と比べ、盛土復元された土壌の保肥力、保水力及び透水性の機能などが変化し、作物の生育や収量等への影響が考えられる。このため、本報告では平成4年度に報告した第1報後の平成5~7年までの3年間のデータを取り纏め、現地における盛土造成後の沈下状況の調査結果について検討するとともに、盛土箇所で実施している栽培試験結果について、生育状況及び収量の変化や、土壌の化学性や物理性等の検討を行うものである。 |