| 近年ダム事業においては、水資源の活用ばかりでなくダム景観をはじめとした環境問題についても関心が寄せられている。また、濁水や富栄養化などの水質に関する問題は、水資源の保全という立場だけでなくダム周辺の環境に与える影響が大きいことからもその対策を講じていかなければならない。幾春別川総合開発で計画されている新桂沢ダムは、既設の桂沢ダムを嵩上げして建設される多目的ダムである。本ダムの流域は北海道立自然公園の指定を受け、良好な自然環境を有しているが、現桂沢ダムでは濁水現象がその完成直後から見受けられ、この状況は新ダム完成後も引き続くものと予想されている。また、栄養塩類濃度が比較的高い本ダムでは、、新ダム移行後の富栄養化現象の発生も懸念されている。当事業所では従来より嵩上げ後の新桂沢ダムの貯水容量の拡大に伴う水質状況の予測、検討を行うために、数値解析手法を用いて濁水現象をはじめとする各水質項目についてのシミュレーションを行うことを試みている。この一環として本研究では、新桂沢ダム貯水池での水質予測のために数値解析モデルを構築し、新ダム移行後の貯水池の水温、濁水、富栄養化の状況を検討することから、新ダムでの水質保全対策を立案するための基礎資料を提供することを目的としている。 |
