平成7年1月17日に発生した阪神大震災においては多数の建物が倒壊し、官庁施設(官庁建物実態調査対象建物に限る)も約130棟が被害を受けた。一般に官庁施設は、その特殊性から地震等の災害時には防災拠点としての活動を行わなければならない。災害対策基本法第3条によれば、国の責務として、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する」とある。したがって、官庁施設は災害時にはある一定レベルの機能を確保する必要がある。今回の地震では官庁施設にも被害があり、防災拠点としての十分な機能が果たせなかった施設もあった。本来、耐震設計されている建築物であれば、適切な維持管理を実施していくことで、その施設の機能は確保されるはずである。本報告においては、地震後7ヵ月を経過した時点で被害を受けた官庁施設の各施設管理担当者に対して行った地震と維持管理の関係に関するアンケート結果等を基に、今後官庁施設が災害時(特に地震時)に防災拠点としての機能を維持するためにどのような点検・保守等の保全業務を行えばよいかを検討し、保全の望ましい姿を提案する。今年度は、防災拠点施設の保全体制の現状についてアンケート調査等により調査するとともに、あるべき姿について検討する。次年度は総合耐震計画検討委員会の検討結果をうけ、新たな標準案を適用し、検証する。なお、現在建設省では、今回の地震を機に「官庁施設の総合耐震計画標準」、「官庁施設の対震点検・改修要領」の規定を見直しているところである。維持管理についてはこ今回新親項目として盛り込むこととなった。 |