近年、公共施投の整備に当たっては高齢者や障害者なども利用し易くするための種々の配慮が成されるようになってきた。また、施設の設計のための基準やガイドラインの検討の際に、障害者の生の声を聞くなどの方策も採られている由である。筆者は事故の後遺症にて自立歩行が困難となり、平成6年の春から車椅子生活を送るようになったが、車椅子対応の施設においても実際に利用してみると不都合な部分も少なくないように思われる。市街部の主要道路には歩道が車道と分離して設置されており、これには段差解消のためのスロープがほぼ整備済みなので自動車に煩わされることなく安全に通行できる貴重な施設である。しかし、若葉マークの車椅子利用者である筆者が歩道を走行する際に、実際的または精神的な危険に遭遇するケースがままあることに気付いた。当局においても歩道の具体的な問題箇所などについて多くの障害者の声を聞いて実地検証を行っている由であるが、障害者の訴えが土木の言葉で語られないために障害者の感じている困難が正確に伝えられていないのではと思われるふしがある。本報告は新米障害者が初めて病院外の歩道を利用した折りに感じた種々の不安や危険について土木の言葉で説明を行うと共に、改善の具体的な方策についての提案を行うものである。 |