近年、北海道におけるエゾシカの生息数は増加を続けており、道路網の発達、交通量の増加などとあいまって、本種との交通事故が頻発するようになった。釧路開発建設部管内は、道内でも本種の生息数が多く、平成6年度の国道での野生動物との交通事故件数は154件、そのうちエゾシカとの事故が136件(開発局調べ)と報告されている。この様な背景から、釧路開発建設部では、人と野生動物が共存できる道路(エコロード)づくりを目標に、平成3年度から様々な検討、対策を行ってきた。第1報では釧路開発建設部管内の野生動物との交通事故の実態および原因の整理、第2報では対策方法の分類・整理、事故多発地域の抽出、地域ごとの対策方法の提案、第3報では国道240号・241号における反射板の設置およびその後の追跡調査について報告した。今年度は、反射板の効果確認を目的とした追跡調査として、現地でエゾシカの出現状況を確認するロードセンサス、道路利用者の情報を得るためのアンケート調査、エゾシカとの交通事故の発生状況などを確認するための交通事故データの解析を行った。本報告ではこれらの結果について報告するほか、反射板以外の、現在実施あるいは計画中の交通事故対策について紹介する。 |