札幌市管内において、平成4年度よりスパイクタイヤの装着が全面禁止となり、本格的なスタッドレスタイヤ時代がスタートした。これにより、舗装面の損傷・粉じんの発生等スパイクタイヤの装着による問題はほぼ解消されたが、その反面、スタッドレスタイヤが主因と考えられる非常に滑りやすい凍結路面が出現し、その影響により車両がスリップしやすくなり、交差点部や坂道での発進・停止に支障をきたし、追突事故等も急増した。こうした背景から車両交通に関しては、坂道のロードヒーティング化やCMA・砂に代表されるスリップ防止剤の散布のほか、スタッドレスタイヤの性能の向上やドライバーの意識改革等、この凍結路面の克服に向けて様々な取り組みがなされている。しかし、その影響は車両交通だけでなく歩行者にも及んでおり、転倒事故が急増している。例えば札幌市内において歩行中に転倒負傷し、救急車で搬送された人数は平成3年度の375人に対し、平成4年度では710人、平成5年度では676人、平成6年度では582人と、スパイクタイヤが全面禁止となった平成4年度を境に急増している。このような歩行者の転倒事故の現状を踏まえ、発生の傾向と対策について模索してみたい。 |