近年、局地的あるいは地域的な大気汚染問題等から、地球環境という大きな視点で環境問題がとらえられ、農業生産に伴う環境への影響についても国民の関心が高まってきている。一方、21世紀には世界的な人口増と食料生産の限界がもたらす食料不足が懸念されている。このような状況の中で、農業を持続し、発展させるためにも環境に与える負荷を軽減し、調和する「環境保全型農業」の確立が強く求められている。帯広畜産大学中野益男教授は、木炭を利用した炭理工法による農地の維持活性化方策についてその合理性と効果を発表した。古より環境保全に大きな役割を担ってきた木炭を活用することは地域振興の上からも有意義なことであり、実用化にむけ平成5年度からおおむね3ヵ年を目途に調査を開始した。平成5年度には北海道の森林資源と木炭生産についての現状と課題(第1報)及び実証モデル圃場を設置して検証するにあたっての基本的な考え方(第2報)を、平成6年度は地電流調査をまじえて検証を深め、実証試験圃場における作物の生長促進等の結果(第3報)をそれぞれ報告した。最終予定年度である今年度は、過去二年間の調査結果を踏まえて第3報の続報として実用化に向け、今年度の調査結果を報告する。 |