排水は生産基盤の機能において最も重要であり、排水不良は、作物の生理や病害虫の発生はもちろんのこと、営農作業や土壌管理などへ影響を与える。現在、道内で施工されている農地用暗渠の疎水材としては、モミガラや砂利、火山灰など各地域で入手しやすく、量の確保できる資材が使用されている。しかし、地域によっては、従来から使用されているモミガラの供給不足から新たな資材が求められている。一方、カラマツは、本道における主要造林木であるが、その小径間伐材や製材工場などから排出される廃材は、パルプ用のチップとして利用されている。しかし、近年の円高傾向を反映して、輸入チップやパルプが増加し、道産チップの需要が低迷してることから、チップ生産業のみならず森林所有者や製材業は厳しい経営を強いられており、木質チップのパルプ用以外の新たな用途開発が望まれている。これらの状況を背景として、ここ数年、カラマツチップを疎水材とした暗渠工事が試みられている。しかし、木材チップについては、作物への生育阻害性や排水効果、耐久性など疎水材としての基本的性質がこれまでほとんど検討されていない。そこで、実際の畑地や水田などに試験区を設定し、その機能や性質について調査したので報告する。 |