苫小牧西港商港-14m岸壁は、平成4年度の港湾計画の一部変更により水深 -9.0mの旧石炭岸壁から水深 -14.0mの外貿コンテナ岸壁に改良するように苫小牧港の整備事業の中で位置づけられ、平成6年度には「水中ストラット式桟橋工法」としてパイロット工事の指定を受けている。この改良工事は平成5年度の撤去工事に始まり、現在、平成8年度の水深 -12.0mでの暫定供用に向けて作業が進められている。当岸壁の設計概要は、第37回の局技研において既に報告したが、おおよそ以下の通りである。設計条件設計水深 :C.D.L-14.6m天端高 :C.D.L+3.5mパース延長 :330.0m対象船舶 :40,000 DW コンテナ船接岸速度 :0.10m/s船舶の牽引力:100t/35m設計震度 :Kh=0.15, Kh’=見掛けの震度クレーン条件:総重量 820t、輸荷重 19~64t/輸構造上の特徴としては、3本の鋼管杭(φ1200)を支持杭とし、そのうち陸側の鋼管杭と中央の鋼管杭をストラット部材で連結している。ストラット部材を通して、水平外力の一部を軸力として支持杭へ伝達することにより水平変位を抑制することができ、地盤の有する支持力特性(軸方向支持力・横方向支持力)を有効に活用することができる。また岸壁前面の鋼管矢板は、①桟橋幅の低減②消波性の確保、のために -9.0m以深を土留めすることで既設の斜面を残し、-9.0m以浅は継手を取り外すことで鋼管によるスリットとした。構造設計では、一般的に地盤の評価など設計定数の設定を「設計法」という仮定の下で行うため、実際の値との間に誤差が含まれいる。特に横地盤反力は解析上重要であるが、設計上①平均N値より求めている②斜面の効果を仮想地盤面を用いて補正している、などから誤差が大きいことが予測される。また、本試験では施工性の確保のため地盤を改良している。このため、解析された試験結果がストラット構造の特性による効果なのか、設計や施工過程に含まれる誤差のためなのかが明確でなくなる懸念がある。このことから予め現地盤の評価を行うことが必要であると判断し、上部コンクリート打設前の施工途上で鋼管杭が単杭の状態において、水平載荷試験を行った。本報文では、この単杭試験の結果から現地盤における設計条件を示し、水中ストラット式桟橋の構造特性を明確にするために、上部コンクリート打設後に行う予定である水平載荷試験の基礎資料として取りまとめたものである。 |