近年の港湾建設においては、外郭施設が沖合へ展開することで大水深・高波浪等の過酷な条件にさらされるようになってきている。高波浪海域では一般に消波ブロック被覆堤が採用されているが、設計波高の増大と堤頭部での重量割増によって従来にない大型の消波ブロックが必要となってきている。しかし製作から運搬・据付に至る主として施工上の問題により消波ブロックの大型化には限界があるとされている。消波ブロックを大型化することなく所要重量を抑える方法としては、消波工の法面勾配を緩やかにすることや噛み合わせの良い形状のブロックを用いることが考えられる。このうちブロックの噛み合わせを良くすることは消波工の安定性向上に対して有効な面がある一方、波力が部材応力となって伝わりブロックを折損させる事故が報告されている。また、法面勾配を緩やかにすると消波工断面が増大し経済的に不利となるだけでなく、過小重量で設計される場合がある。そこで最近では、より大きな比重の材料を用いることで所要重量を確保しようとする高比重消波ブロックの考え方が採用されようとしている。同じ重量で比較した場合、比重が大きいほど波力に対する受圧面積が小さくなるためブロックの安定性は向上する。本報告では、2次元水埋模型実験により高比重消波ブロックの耐波安定性を調べ、その有効性を明らかにする。さらに3次元水理模型実験により、埠頭部における高比重消波ブロックの適用性について検討する。 |