沙流川は、北海道の南西部に位置する日高支庁の代表的河川であり、流域面積1,350km2、幹川流路延長104kmの河川である。キュウリウオ科のシシャモは北海道の特産として重要な水産物の一つであるが、近年えりも以西のシシャモは減少が著しく資源維持が危ぶまれている。本調査は、産卵床の枯渇もその一因と考えられることから、人工的に水制による産卵床の造成を行ってその効果を把握するとともに、今後の改良点を明らかにし、資源増大のための基礎資料とすることを目的としたものである。水制による産卵床造成のヒントとなったのは、沙流川総合開発事業に関連して行われた沙流川漁場環境調査においてシシャモ親魚採捕地点に設けられた採捕施設を流下物から保護するための柵である。この柵によって、それまでの礫底であったところが柵の下流側に砂の堆積が生じ、平成2年度にはこの部分が調査地点中最も高密度の着卵が見られた。3年度にはさらに堆積が進んで粒径がやや細かくなるとともに柵に目づまりが生じ流速が低下して、卵数はさほど多くはならなかった。平成4年3月上旬この流下物防止柵は氷等の流下により半壊したため、平成4年度よりシシャモ産卵床を人工的に造成することを目的として新たに調査を開始することとなった。本報告は平成4年度に実施した水制の設置による、1)河床地形、2)流況、3)底質、4)シシャモ産卵状況についてその効果を取り纏めたものである。 |