洪水の災害から一般住民を守るには、洪水予測及びダム操作等は極めて重要である。そのため、河川管理者は、これまで独自に流域の雨量や河川の水位等の情報を入手するため、各水位・雨量観測所のテレメータシステムのほか、レーダー雨雪量計の開発整備を行ってきている。北海道における、レーダー雨雪量計は、昭和63年ピンネシリ岳に設置された道央レーダーを初めとして、平成3年に道南レーダー(乙部岳)、本年道東レーダー(霧裏山)が完成している。レーダーシステムは、今まで地上雨量計の設置が困難な地域の降雨状況を監視するとともに、地点ごとの降雨状況に変わって面的(空間的)な降雨状況を一定精度で容易に実況監視が可能となると同時に降雨状況の履歴から将来の雨域の状況を判断することが可能となった。しかしながら、既設のレーダー雨雪量計は観測範囲を確保するために千m級の山頂に設置するため、レーダーサイトから離れる程ビーム高度が高くなり、観測精度に問題が生ずる。この問題点を解消するため、一定高度に観測を行うCAPPIの性能を持ち、道央レーダーに比べ観測メッシュが最小250mと小さく高密度な観測ができるミニレーダー雨雪量計システムの設置が有効と考えられる。本報文では、朝里岳に設置したミニレーダーと道央レーダーの比較検討とともにミニレーダー利用化の検討結果について報告するものである。 |