平成5年7月12日の北海道南西沖地震により、一般国道229号岩内町刀掛覆道と刀掛トンネルの接合部で大規模な岩崩壊と上方の斜面に大規模な亀裂の入った大岩塊(推定で体積V=2,200m3、重量W=5,700t)を発見、確認した。小樽開発建設部は落石の恐れがあると判断し、7月28日午後5時に、一般国道229号岩内町弁慶トンネル~蘭越町磯谷トンネルの区間(L=3.8km)を全面通行止めとした。本路線は、後志支庁の海沿いを通る産業道路、ニセコ・積丹・小樽海岸国定公園を通過する観光道路、地域住民の生活道路として重要な幹線道路であり、通行止めにより周辺地域に多大な影響を与えた。この道路上60mに位置する塔状不安定岩体の対策工法については、「2次災害の防止と国道の早期開通」を主要目的とし、確認当初から工法検討会を重ねた結果、不安定岩体を転倒発破により一気に落とし、その後、他の岩塊を処理するという工法に決定した。転倒発破工法によりこのような大岩塊を処理することは全国的にも大変めずらしいことである。この工法により、道路構造物に与える損傷を最小限にとどめ、無事故で交通開放することができた。本報告は、転倒発破工法の発破制御、構造物の補強、工事中の安全管理、発破後の構造物の健全度について報告するものである。 |