自然と調和する緑化技術は、環境保全上からも特に重要であり、開発行為による改変をいち早く自然に回復させる手法として不可欠なものである。この中で法面保護としての緑化工は、一般には張芝や種子植生による草生法面であり、その殆どは外来草本植物が占めている。このような草生法面は、北海道のような積雪寒冷地域では凍上現象と融雪期の凍結融解の繰り返しによって、風化が著しく進行して崩れ易い法面となり、崩落事故の原因となっている。このため、法面保護工として、植生基盤の安定を図る各種の法枠工が使用されている。しかし、これらの法枠工のいずれも凍上による法枠の変状を抑えることが出来ず、凍上による被害が多発している現状にある。本報告は、①法面保護工としての法枠工の凍上被害を防止するための新工法として、凍上防止シートを考察し、一般国道336号大樹町紀文沼地区に試験施工したものである。②さらに、当地域の山野のいたる所にササが自生しており、ササの自生している斜面は完全に保全されていることに着目し、法面保護に有効と考えてササの植生を試みた。このササは、ミヤコザサと呼ばれ、寒さや塩害にも強く、少積雪地域に広く自生している種類である。この特徴を利用して、草生法面と自然の調和を図るササ植生を施し、冬季にも雪の合間から緑の景観を創出する緑化技術を確立するとともに法面保護を図るものである。 |