国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 交通流シミュレーションの開発について

作成年度 1993年度
論文名 交通流シミュレーションの開発について
論文名(和訳)
論文副題 平成5年度(道-1)
発表会 平成5年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成5年度技術研究発表会
発表年月日 1994/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
平沢匡介
高木秀貴
大沼秀次
抄録
昭和30年代後半に500万台を突破したわが国の自動車保有車両数は、その後も自動車の大衆化の波にのり、飛躍的に増大し、ついに平成2年度に6,000万台を超えた。しかし自動車交通需要の伸びは、道路整備の伸びを完全に上回り、道路資産が著しく不足していたわが国にとって交通渋滞、交通事故、エネルギー問題あるいは環境問題といった大きな社会問題を引き起こす結果となった。こうして交通渋滞は最も日常的な交通現象といえる問題となった。この渋滞問題については、昭和63年7月に「大都市における道路円滑化対策について」が交通対策本部において決定され、建設省は、これを受けた形で、全国37の都市(圏)において、「渋滞対策緊急実行計画(アクションプログラム)」を策定しており、その中で北海道は札幌市を対象地域とし「アクションプログラム」を取りまとめ各種渋滞対策に取り組んでいる。さらに建設省では、その他の地域について渋滞対策の一層の推進を図るため、平成2年に都道府県ごどに「渋滞対策推進計画」を策定しており、北海道においては、北海道開発局、北海道の道路管理者からなる「北海道渋滞対策協議会」を設立し、渋滞に関する検討を進め、「渋滞対策推進計画」を取りまとめた。また同時に休日交通に対応した道路整備を進めるため、全国30地域において「休日ボトルネック解消モデル事業」を策定し、北海道では「北海道渋滞対策協議会」において定山渓~ルスツ~洞爺地域を対象として対策を取りまとめ、各種対策を実施している。さらに最近の道路交通の実態をみると渋滞現象は十分改善されているとは言えず、より一層の改善策を検討する必要がある。このため。平成5年度から始まる第11次道路整備五箇年計画を踏まえて、従来までの渋滞対策プログラムで実施していた道路の拡幅やバイパス整備、交差点改良などの交通容量拡大策に加え、既存道路の有効利用や道路交通情報提供の充実、公共交通機関の利便性向上などの交通運用の改善も検討する「新渋滞対策プログラム」を策定した。交通渋滞対策は、交差点の小規模改良、信号制御、交通規制等のその他交通改善手段といったトラフィックマネージメントから大規模なインフラ整備まで様々あり、対策箇所の現状によって決定される。特に重要なのは部分的な渋滞対策を行ったとしても、その前後の区間の交通容量によっては、渋滞が再度発生する可能性があり、渋滞対策には路線全体の交通容量の把握とアクセスする他の路線の評価を事前に検討しなければならない。また交通渋滞は非常に複雑な構造を持っていることから、施設整備と交通運用の改善とともに、官民一体となった交通需要マネジメントの実施による総合的な対策が必要であり、また各種交通機関との連携を図ったモーダルミックス施策の推進んど地域実情にあった対策の実施が必要である。こうした背景により電子計算機上で交通流シミュレート(模倣)し、交通対策を検討することは以前から考えられてきたが、現在の渋滞対策の検討において電子計算機がほとんど、または全く用いられていないのは満足のゆく成果が得られるシミュレーションが構築できなかったことに起因する。精度の良いシミュレーションを完成するためには、電子計算機のCPU(中央処理装置)、メモリというハード面の大きな壁をクリアしなければならなかった。CPUに負担をかけずメモリを節約するためには、ソフト面である交通流の理論上の複雑に影響しあっている因子の関係を、明らかにしなければならない。結局渋滞現象の因子構造は複雑すぎて、CPU・メモリの問題を満足できるレベルでクリアできるプログラムは製作されていない。結果的に現状では交差点や高速道路の合流部等の部分的なシミュレーションが各機関で製作されている。本研究は、渋滞対策の検討のために局部的渋滞現象をある程度のネットワークにおいて検討可能な交通流シミュレーションを開発することを目的としている。本報告では、平成5年度がシミュレーションの開発初年度なのでベースとなる理論の検討を中心に報告する。
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