北欧を中心に普及したスパイクタイヤは、積雪寒冷地を中心に昭和40年代後半から我が国でも急速に普及した。その後、交通量の増大とともに50年代前半から、札幌市や仙台市などの大都市で、スパイクタイヤによる粉じん問題が提起され、市民運動を中心にスパイクタイヤ禁止の動きが広がり、供給面で平成3年に製造販売が中止され、使用規制の面で「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が平成2年に施行され、札幌を中心とした4市3町が平成4年度の冬期に、平成5年度にはほぼ全道が「スタッドレス元年」を迎えることになり、スパイクタイヤは急速に姿を消す状況にある。そのスパイクタイヤに代わる冬用タイヤとしてのスタッドレスタイヤは、氷盤路面で性能が劣ると言われており、急速なスタッドレスタイヤへの移行は交通安全や交通処理能力の面で懸念されており、道路管理者としてもスタッドレスタイヤの普及を前提とした道路管理の対応が求められてきている。本文は、平成4年度冬期に札幌圏で発生した非常にすべりやすい路面(従来のアイスバーンにさらに磨きをかけたようなより一層すべりやすい路面)の発生要因やスタッドレス化が環境、道路、交通にどのような影響を与えるかを体系的に調査分析し、今後の来るべきスタッドレス時代の道路構造、道路管理の課題について考察したものである。 |