近年、北海道においても流動わだちによる道路の供用性の低下が見られ、その対策の必要性が高まっている。従来のアスファルト表層混合物(細粒ギャップ13F)は、スパイク全盛期の磨耗に対抗するために種々の検討を行った結果決定されたものであるが、この配合は耐磨耗性を高めるために、骨材の細粒分が多く、アスファルトの針入度は高いという一般的に見ればかなり特異なものである。このような特徴をもつアスファルト混合物は耐磨耗性に優れる半面、高温時の耐流動性が低い。そのため大型車交通量の多い路線や都市内の交差点などで、流動わだちが発生しているものと思われる。また、平成5年度からは全道92市町村でスパイクタイヤの使用が事実上禁止となり、本格的な脱スパイク時代に入るため、舗装の標準配合もそれに対応したものへと変えていく必要がある。このような状況の中、耐流動舗装の施工実績は年々増えてきているが、流動対策を行う際どの程度の動的安定度を確保すれば良いのかが明確となっていないため、本州における目標値等を用いているのが現状である。しかし北海道と本州では気象条件、交通条件などが異なり、従って北海道の地域性を反映した独自の動的安定度の目標値が必要であるといえる。そこで今年度の舗装修繕箇所から13地点を選び、4つの動的安定度の異なる混合物を舗設し、路面形状の追跡調査を開始した。本調査の目的は、わだちぼれ量と動的安定度及び交通量の関係を把握し、交通量に対応した北海道独自の動的安定度目標値を設定することである。本文では調査の概要、現時点で得られた結果と今後の方向性について述べる。 |