大森大橋は、昭和54年度の設計に基づいて昭和55年度より施工を開始し、約6ヶ年の歳月を費やし、昭和60年度に完成、同年の秋に一般供用したものである。本橋は、A1橋台側より、PC3径間連続合成桁、PC2径間連続合成桁、PC3径間連続合成桁およびデビダーク工法により架設されたPC3径間連続有鉸ラーメン箱桁からなる橋長429m、有効幅員7.0mの橋梁である。本橋は、神恵内村大森海岸の岩礁地帯に架橋されているが、鉄筋のかぶりは、設計当時の「道路橋示方書・同解説・コンクリート橋編」の規定に基づいて3.5mにて設計されている。しかし、建設省を中心とした全国規模の調査の結果、半永久的構造物と考えられていたコンクリート橋も海岸地域に建設されたものは塩害を受けて鉄筋に沿う縦ひびわれや、かぶりコンクリートの剥離などの発生例が数多く報告され、コンクリート橋の劣化が大きな問題となった。その後、昭和59年2月には「道路橋の塩害対策指針(案)・同解説」が発行されている。本橋では、塩害対策として昭和59年および60年度に施工したPC連続合成桁の一部には「塗装鉄筋」が使用され、また、供用開始後の昭和61年度には「塗装鉄筋」未使用の桁について「コンクリート塗装」が施された。平成4年度では本橋に施された塩害対策の効果について主として目視による調査を行った。その結果、錆汁の発生や塗膜のひびわれ或いは剥落などが広い範囲に見られたので、平成5年度にはより詳細な調査を実施した。本文は、調査結果の概要を報告するものである。 |