当研究室では、畑かん用パイプラインのファームポンドの利用実態調査を行っている。このパイプラインの送水系はセミクローズドタイプであり、8ヵ所のF.P.全てに流入量の上限を設定する定流量弁が設定されている。ここでF.P.は供給側の操作管理を簡素化する調整機能を発揮することが求められ、まだ定流量弁はF.P.の水位低下に伴う流入量の調整機能を有する過剰な増大を抑制することを求められている。対象地区の配水施設は、昭和63年度より部分供用を開始し、平成5年度現在で道営事業分を含めて計画の約17%までの整備状況である。そこで整備完了後の水管理のためには、、①定流量弁のF.P.への流入量制御機能の効果の確認、②F.P.容量と機能評価、が重要である。また、これらの課題は、送水系システム全体で検討することが必要である。本論では、平成3・4年に得られた実測データを用いて、配水施設が整備完了後の水使用を想定し、将来の水管理について水利検討を行った。この検討手法として、広域な送水システム系での直接差分法による水理シミュレーションを行い、前述の2課題についてその解析結果を報じた。本論で用いた解析手法と「利用率」を用いた評価方法は、水管理の計画や実施にあたって有益な手法と考え、ここに提案した。 |