土中に埋設するパイプラインの管種に可とう性管を使用する場合には、管のたわみ量の予測が不可欠である。現在、農業農村整備事業で行うパイプライン工事の設計・施工は、「土地改良事業設計基準設計水路工(その2)パイプライン」および「土地改良事業標準設計第4編パイプライン(解説書)」に準拠しており、可とう性管のたわみ量の予測にはSpanglerの仮定に基づく計算方法を採用している。Spanglerの計算式では、可とう性管に作用する受働土圧は埋設管周囲の土の受働抵抗係数(e’)を用いて計算され、管の変形量は、上載荷重、管のたわみ剛性、および管周辺土のe’によって規定されている。そして、Spanglerの計算式においては、e’の値が管の変形量に対して支配的なパラメータをなしている。一般に設計で用いるe’の値には、Howardの研究成果による土質分類と土の締固めの程度でカテゴリー化された代表的なe’の値を採用するケースが多く、「設計基準」においてもHowardが求めたe’の値が標準値として推奨されている。しかし、火山灰等に代表される、「設計基準」の土質分類に該当しない土のe’に関する知見は少ない。本論では、「設計基準」にe’の標準値が示されていない、道内に広く分布する火山灰等を対象としたe’に関する実験結果について述べた。火山灰等のe’の値は、室内埋設実験および三軸圧縮実験によって検討したものであり、これらの結果を道内各地に分布するローカルソイルのe’に関する基礎的資料として報告する。 |