苫小牧東港においては従来から関係者の間で「底うねり」と称される現象、すなわち海表面が比較的静穏な状態であるにもかかわらず、係留船舶が大きく動揺するという現象が報告されている。このような船体動揺現象は、係留索の切断や、船体および荷役施設の損傷等の障害を引起こし、係留・荷役施設の機能や泊地の静穏度確保に多大な支障をきたすものである。昨年度は、この船体動揺現象の発生メカニズムの解明と対策工の構築を目指した調査の第1報として、現地調査結果および船体動揺シミュレーションによる数値解析結果について報告した。第1報で報告した主要な調査結果は以下の通りである。①船体動揺時の画像解析結果により得られたSurgeおよびHeave方向の動揺卓越周期(120~130s)と、水位観測データのスペクトル解析により得られた水位変動の卓越周期(147s)は、ほぼ同程度であった。②現地水位観測データを入力値とした船体動揺シミュレーションにより、動揺現象は概ね再現できた。また、Surge方向の動揺量は短周期成分波のみを含むケースよりも、長周期成分波を含むケースの方がはるかに大きくなっており、長周期波が船体動揺に大きな影響を与えていることが分かった。そこで、船体動揺現象の把握および港内における長周期波の増幅メカニズムの解明のため、現地調査および副振動シミュレーションによる数値解析を行った。本報文ではこれら一連の調査結果について報告するものである。 |