苫小牧西港商港地区石炭岸壁は、昭和38年の苫小牧港開港以来、道央圏の石炭の積出港としてその役割を果たしてきたが、近年における国のエネルギー政策の転換等により空知・夕張炭坑が閉山し、苫小牧港における移出石炭量が減少してきたため、遊休化しはじめた。一方、苫小牧港におけるコンテナの貨物量は、昭和61年961千トンから平成4年1615千トンと飛躍的に増加し、今後のコンテナ貨物量の増加に対応した港湾の整備が望まれてきた。このような背景から、平成4年11月、港湾計画の一部変更により、水深-9mの石炭岸壁を水深-14mの外貿コンテナ岸壁に改良し、また、航路の拡幅・増深を行い、さらに航路浚渫に伴う土砂処分場、航路拡幅に伴い港内の静穏度を確保するための東島防波堤を建設する計画が位置づけられた。商港-14m岸壁については、平成8年に暫定水深-12mで供用開始することを目途に本年度は既設石炭岸壁の撤去、来年度以降杭打設等の本体工事に着手する予定である。商港-14m岸壁の構造選定にあたっては、消波機能の付加、既設石炭岸壁の撤去の軽減等が配慮されており、その結果、鋼管矢板土留璧(部分的に鋼管スリット)およびストラットを導入した桟橋構造を採用した。本報文は、商港-14m岸壁が新しい形状の桟橋として選定された経緯や、その設計概要等を紹介するとともに、前面に鋼管スリットがある桟橋の法面という今までにない形状の波浪反射特性を確認するため開発土木研究所において行われた水理模型実験の結果を報告するものである。 |