擁壁基礎を大別すると直接基礎と杭基礎に分類される。通常直接基礎が望ましいが、これが困難な場合は他の基礎形式、主に杭基礎が採用される。荷重の分担も直接基礎は底面地盤に、杭基礎は杭のみに負担させるのを原則としている。しかし、それぞれ単独に負担させるよりは杭と地盤の両方に負担させた方が杭が通常の杭基礎の半分で済むのではないか、また設計上の制約を考えてもそれぞれの単独負担よりは経済的となるのではないかと思われるため、杭と地盤の両方に負担させる「複合的」な基礎形式について考えてみたい。道路橋示方書Ⅳ下部構造編(以下 道示)によれば、杭配置は長期の持続荷重に対して均等に荷重を受けるように配列するとされているが、擁壁基礎の場合は「長期の持続荷重」そのものが水平力による偏心を受けていると考えられる。従って杭の配置を前側に密に配置すれば、杭一本当りの反力が均等化されることにより、変位や応力上有利となり、ひいては杭本数を減じることが可能となる場合も考えられる。「複合的」な基礎の基本的な考え方は、以上の考え方に基ずき、後側に杭をいれても、その持っている支持力のほとんどを「無駄」にしていることを考えれば、その分を地盤に負担させても大きな反力とはならないだろうと考え、荷重合力の作用点より地盤反力の大きな前端部分にのみ杭を入れて後側の杭を取り払い、その分の反力を地盤にも負担させるようなタイプの基礎形式を考える。 |