近年、社会がゆとりの時代をむかえ、国民意識は量から質へと移行し、生活環境のより豊かな展開を求め、それぞれの地域・地区の顔となる公共建築と共に、公共土木施設にもその本来機能に地域の歴史や文化、景観や環境等への配慮が重視され、使いやすく美しい施設づくりが望まれるようになってきた。本論文の目的は、事業営繕においても施設の充実が求められる中、洗練されたデザインを目指し、具体的にかたちづくるなかで基本となる事を探ることにあり、建築と設備の関わり方を中心に、外観・意匠による視覚的な快適性という側面も加味してその考え方と設計手法を展開するものである。具体的には、事業営繕においてよくみられる小規模建築を対象に、テーマを「建築の立場から見た設備への配慮」という面で、「建築を良くしようと考えながら手を加える」という姿勢で、今まで実際に提案し、かたちずくった事例の紹介に重点を置き、具体的な設計手法を展開するものである。更に、建築と環境との関わりから、環境との調和に配慮した建築物のエネルギーについての基本的考え方について検討する。そして、改めてこれらの有効性や問題点を再確認し、今後の設計に活かし、応用するための一助となる事を目的とする。 |