コンソリデーショングラウチングは、ダム基礎岩盤の掘削等によるゆるみを固結化し、岩盤浅部を均質化・一体化させる目的で、主に岩盤の力学的改良をめざして実施されている。とこが、その改良効果はルジオン値によって判断されるのが一般的で、いわば、間接的な評価であり、現状では改良された結果を設計に反映させてはいない。コンソリデーショングラウチングの力学的な効果判定については、これまでのところ主として脆弱な軟岩(鮮新世砂岩)あるいは硬質岩(流紋岩・花崗岩・白亜紀砂岩)での成果が多く得られている。前者は、設計・施工にかかわる実務的な要請によるものであるが、後者には、改良効果を比較的明瞭にとらえやすいが、どの程度(強度)の岩盤まで適用可能かという課題が残されている。滝里ダムは、石狩川水系空知川に建設中の多目的ダムで、堤高50m、堤頂長445m、堤体積455千m3の重力式コンクリートダムである。その基盤は、中生代白亜紀の中硬質な頁岩が主で、一部硬質な砂岩、軟質な凝灰岩を挾在する。頁岩は一軸圧縮強度が300kgf/c㎡程度の岩盤で硬質ではない。このような岩盤の特徴から、上記の研究結果が少ないので、コンソリデーショングラウチングによる力学的改良効果の検証を行った。試験手法としては、孔内水平載荷試験(LLT)と孔内打撃応答試験(BHT)を用いた。試験ヤードは堤体外に設けたので、LLTでは降伏まで載荷し、岩盤強度の推定を行った。また、BHTが岩盤物性を簡便、迅速、かつ、廉価に測定可能な新しい試験方法なので、その適用性について検討した。 |