国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 小流域河川における流出モデルの検討

作成年度 1986年度
論文名 小流域河川における流出モデルの検討
論文名(和訳)
論文副題 昭和60年度(D-8)
発表会 昭和60年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和60年度技術研究発表会
発表年月日 1986/08/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
村上泰啓
星清
抄録
北海道開発局が現有する樋門管設置個所は相当数にのぼる。しかしながら、既設・新設樋門管設計のための基礎飼料となる計画流量算定方法については、背後の小流域からの流出量予測手法は確立されているとは言えず、設計のたびに各々の流域で流出予測モデルを適用している現状にある。実際の流出計算にあたっては、分布定数系の流出モデル(たとえば、等価粗度法)を採用するよりも、集中定数系モデル(たとえば、貯留関数法)を採用した方がはるかに計算が容易である。事実、各開発建設部においても、木村の貯留関数法が流出解析に多用されている。しかしながら、集中定数系モデルに含まれるパラメータを物理的に評価しようとすれば、種々の難点に遭遇する。その1つに、パラメータの値と流出特性の現定する斜面長、勾配、粗度などの流域特性値ないしは降雨特性値との関係が明確でないことがあげられる。とくに、流量資料の入手できない流域を対象として、集中定数系流出モデルを用いようとするとき、上述の集中定数系モデルのもつ欠点は致命的と言わざるを得ない。もう1つ流出解析において注意すべき点は降雨波形の取扱いである。すなわち、雨量強度によりモデルパラメータが変化することはしばしば経験することであり、中小規模程度の流量資料に基づいて同定されたモデルパラメータを計画降雨波形のようにきわめて雨量強度の大きい降雨にまで適用することは問題である。これまでに流出解析に多用されてきている貯留関数法にしても、どんな洪水流出にも適合度がよいわけではなく、自ずから限界があることに留意すべきである。一応の目安としては、ピーク比流量が1m3/s/k㎡以上のとき貯留関数モデルは適合度が良好であることを念頭に入れておく必要がある。流域は斜面と河道より構成されている。山腹斜面は雨量を流量に変換する場であり、河道は斜面からの流出量を合成、運搬する場である。本報告で対象とする小流域では後者の河道効果を無視してさしつかえない。また、樋門管等の設計流量はきわめて雨量強度の大きい降雨を対象としているので、斜面から流出が表面流によって生起すると考えてよい。本報告では、以上の論点をふまえて、比較的簡便な貯留関数モデルによる流出計算手法を紹介する。このとき、モデルパラメータ値の物理的解釈を容易にしてある。また、パラメータの推定が容易に行えるように実用推定式も示す。土木試験所では、これまでに北海道内の小流域における洪水資料を多数収集しているので、そのうち、比較的大きい出水(比流量0.5m3/s/k㎡以上)と考えられる81列に採用モデルを適用してモデルの有効性を検証する。
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