豊平川は、人口170万人の全国第5位の大都市、札幌市を流れる河川で、その上流域が豊平川直轄砂防区域となっている。札幌市は市域の約6割りが森林であるが、その多くが直轄砂防区域内にあり、大都市の近郊にあっても原生の良好な自然環境が保たれ、天然記念物クマゲラの生息が確認され、また貴重種のオショロコマ、カワセミなどが見られるなど豊かな生態系を構成している。一方、直轄砂防区域の特に下流側一帯は大都市近郊の人口急増地帯であるが、その背後の山地では今も身近な自然が残されている。しかし、土石流や多量の土砂を含む洪水氾濫が多発しており、今でも大都市の住宅地域が危険にさらされているのも現状である。現在の社会情勢では、砂防事業において、このような地域特性・渓流特性をふまえた、「渓流環境整備計画」を策定し、事業を実施してゆくことが求められている。そこで北海道開発局では、直轄砂防全域において、「渓流環境整備計画」の策定を目指しているが、モデル地区として豊平川上流において「渓流環境整備計画(案)」を検討し、ここで中間報告として報告するものである。今後この「渓流環境整備計画(案)」は各分野の学識経験者、専門家、関係市町村又は、地元の方々の意見を取り入れながら、より検討を加えた「豊平川渓流環境整備計画」にして行きたい。 |