ダムからの放流水は下流河川の水質に直接影響を及ぼし、特に冷水・濁水放流は利水者や動植物の生態環境にとって重要な問題である。この為、洪水時及び利水目的に応じた放流水の水質を管理することが大変重要であるものと考えられる。一方幾春別川流域には多目的ダムとして桂沢ダムがあり、洪水調節をはじめ水道水や工業用水の利水容量の確保、かんがい等既得用水確保の目的で運用されている。しかし、同ダムは昭和32年の竣工から37年を経過し、施設の老朽化に加え、流入土砂による堆砂容量の減少や流域土地利用の高度化・多様化に伴う水環境改善のニーズが高まってきたことから昭和60年に始まった幾春別川総合開発事業では、桂沢ダムの嵩上げを含む再開発事業によって、ダム機能の回復・拡充を図ることとしている。幾春別川ダム建設事業所では、桂沢ダムにおいて過去より濁水機構の調査を初めとし、平成5年度より放流中における取水塔まわりの水理量を調査している。本年度の調査は、将来取水条件と放流水質との関係を定量化し、今後の選択取水設備及び取水方法を考える際の基礎資料を得る事を目的とし、昨年に引き続き現地調査を行い取水影響範囲および水温・高濁度水域の躍層形成と変動要因について若干の検討を行ったのでここに報告する。 |