山岳部あるいは海岸部における道路網には、落石災害による人命損失および交通障害を防止するために、落石予防工や落石防護工が数多く建設されている。落石覆道は落石防護工の一つである。通常、覆道の頂版上には緩衝材として山砂等が設置されているが、敷砂材は緩衝効果が経時的に変化していくことや、緩衝効果に限界があるため、現設計法ではある落石荷重以上では適切な設計が不可能になるなどの問題点がある。そこで、構造研究室では敷砂材に代わる新しい緩衝システムとして三層緩衝構造(敷砂材+RC版+EPS材)を開発し、その緩衝特性の把握のために種々の落錘衝撃実検を実施してきた。その結果、三層緩衝構造は優れた荷重分散性および衝撃エネルギー吸収性能を有しており、構成材厚を調整することによって本体構造に作用する衝撃力(伝達衝撃力)を重錘の衝突加速度から算定した衝撃力(重錐衝撃力)の2分の1程度まで低減できることなどを明らかにしている。本報告は、上記実検結果を踏まえた実規模落石覆道の断面試算により、三層緩衝構造の実覆道への適用性について検討を行ったものである。ここでは、主に覆道の頂版厚に着目し、現設計法に従った場合等と比較する形で検討を行っている。 |