トンネルを掘削するにあたっては、対象とする地山を構成する地層岩石と地層構造面、岩石の物理特性などを把握することが重要であり、そのためには予備設計および詳細設計段階における地表地質調査、ボーリング調査、屈折法地震探査などの地質調査の精度を向上させて、施工上の問題点等を整理し、対応策を予め講ずることができれば、安全でかつ経済的なトンネル施工を目指す上で有効である。しかし現実に目を向けると、設計・施工計画のための事前調査と堀削の結果明らかになる施工中の地山の地質状況が必ずしも一致しないことがまま見受けられる。特に、土被りの大きな山岳トンネルの場合には、貫入岩体や破砕帯・変質帯などの地層層序は通常の地表地質調査だけでは推定が難しく、施工上大きなリスクとなることがある。このため、北海道開発局では施工段階において、施工安全的見地から、より正確な前方地質の把握に加えて、水抜き効果も兼ねた、切羽からの先進ボーリングを実施し、その結果を基に地山分類の確認・変更を行っている。本報ではトンネル切羽前方の地質状況の大きな変化による施工リスクをできるだけ事前に回避するために、計画・設計段階と施工段階のそれぞれにおいて、適用が可能ではないかと考えられる2種類の物理探査手法について検討したので、その結果と今後の展望について報告する。 |