本路線は函館市を起点とし、大野町・上磯町・木古内町・上ノ国町を経て江差町に至る延長約70kmの高規格幹線道路であり、北海道縦貫自動車道、函館新道等と道南圏の高速ネットワークを形成すると共に、日本海側の江差町や沿線町村と道南圏の中核都市である函館市との近接性を高め、漁業生産物等の輸送時間の短縮や日常生活の向上、拡大が図られる。また、奥尻島へ結ぶフェリー港「江差港」とのアクセス向上も図られ、道南圏の地域開発に期待されている路線である。近年、道路建設に際して、景観や自然と言った周辺環境全般への配慮が求められている。当該路線は、道南の米どころとして知られる大野平野の水田地帯を高盛土で通過するため、周辺環境の調和を図ることに合わせ、のり面に適用する緑化工法は水田への雑草侵入防止や病虫害発生抑止の対策が地元から強く求められている。従来、盛土のり面の保護は草本類での植生工を用いているが、その主要素材は稲と共通病虫害を持つイネ科牧草であることから、周辺水田への雑草の混入や病害虫の発生が懸念される。このため、当地区では盛土のり面の緑化工法として樹木植栽工の導入を検討している。これは、盛土のり面を農作物との間に共通病虫害の少ない樹木で覆い、のり面保護とともに雑草の繁茂抑止をも図ろうとする試みであり、景観や自然環境保全の面からも大きな効果が期待できるからである。本報告では、樹木導入に不可欠な植栽基盤の造成方法選定を目的として、試験盛土区間内で実施した試験植栽の調査結果について述べることとする。 |