JHでは、橋梁に求められる耐久性、省力化、経済性、維持管理等に関し、橋梁技術の現状調査、問題点の抽出し、第二東名名神高速道路などを想定して、新技術の開発を行っている。橋梁の健全度委員会では、床版の耐久性や鋼橋の疲労破壊について知見を深めている。省力化委員会では、札樽道新琴似高架橋を例に床版の合理化施工や鋼桁の合理化に取り組んでおり、これらの成果は鋼道路橋設計ガイドラインにも取り入れられている。また、コストを削減しつつ維持管理が容易となる手法として、大反力ゴム支承や反力分散支承などゴム支承の適用拡大や、東北道大鳥第二橋他での耐候性鋼材の採用、西湘BP他での試験施工を踏まえた全工場塗装、重防食塗装仕様により、設計要第二集や施工管理要領の改訂を実施している。その他、PC橋の新しい設計法として、帯広道北進沢橋等を例にPRC設計法のマニュアル化や、PC鋼材のグラウト以外の防食法として、山陽道木門田川橋他でのアフターボンド仕様鋼材の試験採用などがある。PC床版2主桁橋は、これら橋梁に関する新しい技術を取り入れて開発された、長支間プレストレストコンクリート床版を有する鋼2主桁形式のことで、わが国では北海道縦貫自動車道ホロナイ川橋において初めて採用されたものである。PC床版2主桁橋は、床版の耐久性を向上させながら、30年来進まなかった床版施工の省力化を実現させ、さらに鋼桁の疲労に十分配慮しつつ工場内での加工工数の削減、省力化を実現している。そして床版や鋼構造など本体工のみならず、塗装や橋梁附属物などを含めた耐久性、省力化、経済性、維持管理、工期短縮等も実現させており、JHにおけるここ10年間の橋梁技術の集大成であると考えている。さらにこれは、ライフサイクルコストを考えた橋梁のあり方、すなわち「工学的永久橋」、あるいは供用期間を200年に設定した「200年橋梁」の具体的な実践例と考えている。本論文では、PC床版2主桁橋について、北海道縦貫自動車道ホロナイ川橋を例にして、適用性の研究について取りまとめるものである。 |