近年、道路は冬期路面管理として薬剤の使用が不可欠となっている。また、交通量の増大に伴う周辺環境の悪化も問題となっている。一方、橋梁の床版、壁高欄はコンクリート構造としては薄く、鉄筋量が多いため酸性の薬剤に対して腐食、風雨による劣化が起きやすい部分である。また、美観への配慮も必要になり、コンクリート面の汚れ対策が必要となっている。床版舗装面に対しては従来より防水工が行われているが、壁高欄部分は、クラック等防止のため、膨張コンクリートを使用しているだけで外的な影響からは無対策のままである。このような部分に対し、コンクリート面を保護する工法としてはペーストモルタル、樹脂塗装、浸透性吸水防止材塗料などがあり、このうち、浸透性吸水防止剤は打ち放しコンクリート建築物などに使用され、コンクリートのテクスチャーを損なわずに保護する事が可能といわれている。しかしながら、建築分野で広く用いられている吸水防止剤は、土木構造物ではほとんど使用実績がないため、本材料を橋梁のコンクリート壁高欄に使用することで土木構造物における耐久性等を向上させる有効性について調査すべく試験施工を行った。本稿は、この浸透性吸水防止剤の調査内容及び施工状況、施工後初期段階での結果、考察について報告する。 |