橋梁基礎において、現場条件により場所打ちコンクリート杭の大口径短杭基礎が採用されるケースがある。これらの杭では、杭長杭径比L/Dが10以下の短杭になる場合が多い。現行の道路橋示方書Ⅳ下部構造編では、CCPの先端極限支持力度qdの算定条件に杭長杭径比L/Dが10以上という規定が示されているため、各機関でqdの算定手法が不統一な現状にある。平成8年度改訂の道示では、この条件が外されることから今後は杭長杭径比に関係なく同一の先端極限支持力度qdが採用されることになる。道示にあるCCPの先端支持力度算定法では、施工による先端地盤の乱れ及びスライムの影響を考慮しqdを低めに与えている。しかし、短杭では掘削深度が浅いため施工上の問題点が少なからず解消されることも予想され、このことは、CCP短坑ではqdを道示の算定値に対し大きく設定できる可能性を示していると考える。また、打込み鋼管杭における短杭の先端支持力に関する研究では、先端支持力が杭長に関係する有効土被り圧に起因することを考察しているが、このことはCCP短杭でも同様の現象として影響をもつことが考えられ、施工上の問題とは別に周面及び先端地盤条件が実際の支持力に関与することが予想される。以上のことから施工条件や地盤条件を考慮すると、短杭・長杭を含めた全てにおいて同一の先端地盤強度を定義し適用することは、一見合理的であるが同時に設計上の課題も持つと考えられる。本研究では、北海道開発局で近年施工された函館・札幌・留萌各開発建設部の代表現場において、特にCCP短杭の先端支持力に注目した杭の鉛直載荷試験を実施した。本報告では、載荷試験結果に基づき今後の設計法の参考指標とするためのCCP短杭の支持力評価及び基礎杭挙動の主因となる鉛直方向地盤反力係数Kvの評価法について検討を加えた。 |