重力式構造物においては、アスファルトマットを敷設することによって堤体の滑動抵抗が増大し、堤体幅を縮小することができる。この工法は昭和38年に和歌山県有田港で全国で最初に採用され、それ以降の使用実績も多い。また、海水中におけるアスファルトマットの長期耐久性については運輸省第三港湾建設局が現地調査を実施し、25年経過時においてもアスファルトマットの強度に大きな変化はみられていないことを報告している。しかしながら、北海道のように冬季間の海水温が0℃近くになる条件に対しては、アスファルトマットの耐久性が確認されていない。このため北海道開発局では、昭和56年度より留萌管内の増毛港において、アスファルトマットの耐久性試験を実施してきた。一方、平成元年度の港湾の施設の技術上の基準・同解説の改訂に際して、新基準に対応するとともに、新たに寒冷海域用として感温性の低いアスファルトマットの開発を行った。この耐久性を確認するため、平成3年度より根室管内の落石漁港においても、増毛港と同様の試験を開始した。本報告では、今年度までに取得された増毛港における15ヵ年データおよび落石漁港での5ヵ年データに基づき、アスファルトマットの経年的な性状変化について検討する。 |