旭川市街地を流下する牛朱別川は、今から60年前まで曲がりくねった原始河川の状態で、幾度となく氾濫を繰り返してきた。そのため、昭和4年から昭和7年にかけて牛朱別川の流路切り替えが行われ、石狩川合流点付近の市街地造成が可能となり、今日の旭川の発展の基礎を築いた。その後、近年発生した昭和45年8月、昭和50年8月、昭和56年8月洪水では、当麻町などの上流部で牛朱別川が氾濫し、下流への洪水流量が軽減したにもかかわらず、旭川市街部では牛朱別川の水位が堤防天端付近まで上昇し、市街部が非常に危険な状況となった。この昭和56年洪水を契機に、牛朱別川の抜本的な治水対策として牛朱別川分水路計画が検討され、昭和59年に事業新規着手許可を得、平成13年度完成をめざし現在工事が進められているが、分水路事業が現在に至るまでには、治水上の課題はもとより、新水路堀削にともなう周辺環境に与える影響について検討を行う一方、地元を含む地域住民が参加する空間利用計画懇談会を開催し、新たに創出される河川空間の利用方法については地域の意見を積極的に反映させる試みがなされている。本報告は、牛朱別川分水路の事業進捗状況として平成9年度末に計画されている暫定運用の効果を報告するとともに、分水路空間利用計画の概要について報告する。 |