北海道幹線用水路は、国営かんがい排水事業空知中央地区の基幹水路であり、石狩川水系空知川赤平地点より取水し、石狩川中下流左岸地帯の平野部約22,000haを支配する。その延長は約74km、最大通水量42.48m3/sで赤平市から栗沢町までの7か市町を貫流する我が国でも有数の規模をもつ用水路である。寒冷地におけるコンクリート用水路の凍上対策工法は、現在まで水路背面の凍上性土を良質な切込砂利で置き換える【置換工法】を主流としてきた。この背景には、昭和50年~54年にかけて実施した調査(北海道開発局農業水産部ほか)において、断熱工法との比較検討の上で、経済的な有利性および断熱材の吸水による断熱効果の低下などの理由により、置換工法を採用したものである。しかし、近年は多量の工事発生土を建設副産物として処理しなければならないケースが多くなっていることから、置換工法が用水路の建設コストの増嵩を招く要因になっている。また、新工法の採用による事業費のコスト縮減が社会的要請となっている。これらのことから、【透水性断熱材(発泡ポリスチレン)を用いた断熱工法】の採用を試み、その有利性について調査試験を行なった結果を報告する。なお、この調査試験は、北海道開発局が実施している『技術活用パイロット事業』として平成9年度に採用されている調査試験である。 |