積雪寒冷地域である北海道においては、スパイクタイヤの使用規制に伴いスタッドレスタイヤの装着率が年々上昇し、冬期路面において非常に滑りやすい雪氷路面が発生しやすくなった。また、冬期間に発生する交通事故において人身事故件数に占めるスリップ事故件数の割合が急増するという特徴的な変化が見られるようになった。このような冬期間に発生する非常に滑りやすい雪氷路面を改善する対策として、道路管理者は交差点部や坂路部への凍結防止剤やすべり止め材の重点散布を行ってきている。その結果、各道路種別でスリップ事故の推移に相違が見られるが、特に札幌市の国道においては近年非常に滑りやすい雪氷路面は大幅に改善され、従来問題となっていた交差点におけるスリップ事故件数は年々減少してきている。しかしながら、平成8年度の冬期においてはより一層の路面管理の強化にもかかわらず、交通流の向上に伴う冬期スリップ事故形態の変化が見られ、単路部でのスリップ事故件数の増加傾向が見られた。本論文は、現在のスタッドレス社会において各道路管理者が年々強化している冬期路面管理が冬期スリップ事故や路面別出現頻度、車両の走行性等の交通現象に及ぼしている影響について特徴を把握し、今後の効果的な冬期路面管理に向けての基礎資料とするものである。 |