北海道の高速道路における舗装には、耐魔耗を考慮した密粒度アスファルト混合物を用いているが、線形の厳しい箇所や路面水をいち早く排水する必要がある箇所においては、ギャップアスファルト混合物や開粒度アスファルト混合物などを用いた特殊舗装を採用している。開粒度アスファルト混合物を用いた排水性舗装は、空隙率の高いポーラスなアスファルト混合物であり、その機能としては排水機能と吸音機能などを有し、雨天時における滑り摩擦抵抗の確保、ハイドロプレーニング現象の防止、水はね、スモーキング現象の防止、夜間の路面反射防止及び交通騒音の低減効果などが認められている。道内の高速道路では、交通安全対策の一環として平成3年度に初めて排水性舗装を試験的に施工したが、近年では大幅に施工面積が増えている状況にある。この理由としては、積雪寒冷地での排水性舗装は骨材飛散等による耐久性の低下や排水機能性などの問題が指摘されていたが、低温時のカンタブロ試験の実施により空隙率を17%程度に抑えることで、冬期間の骨材飛散抵抗性等の耐久性が充分確保され、その配合設計方針が定着したためである。しかし、排水機能の低下や冬期路面性状等の挙動実態などについては、解明されていない多くの問題点があることや、気象特性の違い及び道路管理者や一般お客様等の個々の感覚的な違いなどにより、その評価は多種多様である。本文は、積雪寒冷地における排水性舗装の機能性や冬期間の路面性状等を把握するために、機能性等の追跡調査及び密粒度アスファルトコンクリート舗装との冬期路面性状比較調査を実施し、その結果、排水性舗装は経時変化に伴って排水機能が低下するとともに、湿潤・凍結・シャーベットの各路面出現率に違いがあることや、凍結防止剤散布による凍結防止効果が高いこと及び通行車両による雪煙の防止効果があるなど、積雪寒冷地特有の問題に関連する新たな機能を持っていることが認められたので、その概要について報告するものである。 |